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01 PROJECT

国際協力銀行との協調融資で、
タイ進出企業の設備増強を後押し

シバサキTBタイランドさま、株式会社シバサキ製作所さま
海外進出企業の現地サポート・現地子会社の設備増強のための資金調達

PROJECT OVERVIEW

シバサキ製作所と東京鋲兼シンガポールの合弁でタイに設立されたシバサキTBタイランドは、自動車関連製品の製造業。高品質の製品が取引先から評価され、工場はフル稼働していた。タイのカシコン銀行に派遣され、現地のお客さまの相談窓口となっていた磯口は、将来的な設備増強の必要性を事前に察知。いよいよ同社に資金調達が必要になった際、他行に先駆けて政府系金融機関に働きかけ、協調融資によって、タイバーツ建ての融資を低金利で実行できた。期日までに必要な資金を調達できた勝因は、どこにあったのか。日本とタイの行員が、どのように連携してプロジェクトを導いたのか、話を聞いた。

Person Concerned

主なプロジェクト関係者

精密切削加工企業
(SHIBASAKI TB THAILAND Co,.Ltd、
株式会社シバサキ製作所)

新規設備導入に対する国際協力銀行との協調融資によるタイバーツ建融資
現地責任者への情報提供に向けた
ビジネスマッチング

Issue
課 題

現地工場がフル稼働。
一年後には、
新規設備導入資金が必要に!

「武蔵野銀行は、海外に進出する県内の企業を支援しています。現在、タイには約140社のお客さまがいます」と話すのは、タイのカシコン銀行に3年間出向していた磯口である。「現地子会社や駐在拠点は、日本からの1、2名の社員と、現地従業員で運営されていることがほとんどです。一人で、経営者、総務、人事、営業、生産管理の役割をこなされている例も珍しくありません」。日本とは異なり、情報入手ルートが少ない状況下で、頻繁に発生する法改正等の最新情報をアップデートするのは至難の業だ。「当行の持つ税理士、弁護士、公認会計士とのコネクションをご紹介することも少なくありません。銀行業務とは関係ないことでも、『これわかる? 』『困っていることがあるのだけど』と、日常的に電話やメールが入ります。お客さま企業の現地社員の一人かパートナーになったような、損得抜きの関係が、うれしかったですね」。

シバサキ製作所の現地子会社シバサキTBタイランドも、その内の1社。「自動車のエンジンやブレーキに使われる精密部品分野で、優れた技術を持つメーカーです。

「日頃のコミュニケーションの中で、何かあれば私宛にご連絡いただける関係を構築していました。そのような関係性の中、お客さまから『製造業の現地ライセンスは取得しているけれど、商社業務のライセンスも申請したい』と言うご相談を受けたのです」。

シバサキTBタイランドの工場に何度も足を運ぶうち、磯口はあることに気付いた。「取引先からの評価が高く、工場がフル稼働していたのですが、将来的に、生産ラインの拡張が必要になるのは明らかでした」。

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Solution
Cooperate

連携と解決

潜在的な資金調達ニーズを把握。
競合に先駆け、スキームを提案

「新規受注製品を量産化するので、新しい機械設備の導入が必要です。12月末までに資金調達したいのですが」。シバサキTBタイランドの担当者から連絡が入ったのは、それから1年と少し経ってからだった。案件を聞きつけて、メガバンクを含む競合銀行も提案に動き始めた。しかし、磯口は慌てなかった。「お金が必要になってから動いても遅いのです。私は、お客さまの状況を現地で目にしていたので、一年以上前から、どのタイミングで設備投資が必要になり、どれだけの資金が必要になるのか。資金調達には、どのような手段が考えられるのかを説明していたのです」。

日本にある親会社担当の福原とも密に情報交換を行って、資金調達のスキームを組み立ててあった。「お客さまのご要望は、大きく二つ。なるべく低い利息でお金を借り入れること。そして、為替リスクを回避することでした。そこで、金利が低く設定されている国際協力銀行と当行の協調融資にすること。為替リスクを回避するために、日本円ではなく現地通貨のタイバーツで資金調達することを提案しました」。

実は、国際協力銀行との協調融資は、最初に申請した金融機関のみが手掛けられる。「お客さまとの関係性の中で、いち早く動くことができたため、当行のみがご提案できたスキームでした」。ただし、国際協力銀行の融資は、必要な資金額の70%が上限と定められている。「そこで、上限の70%を現地通貨で調達し、残り30%の資金は、日本の親会社からの親子ローンで調達することをご提案しました。当行からの融資先を親会社に設定したほうが、当行としても好条件をご提示できるからです」。

この案件には、タイ、営業店、本部市場国際部、融資部、シバサキ製作所、シバサキTBタイランド、国際協力銀行が関わっていた。「関係者が多いことで伝言ゲームにならないように、こまめに連絡を取って、意思疎通に気を配りました」。その結果、「当社の実情に沿った提案内容で、安心感もある」と、競合の中で、武蔵野銀行の提案が採用された。

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Achievement
成 果

間一髪で間に合った資金調達。
「武蔵野銀行さんだからこそ」

シバサキTBタイランドが必要な資金を調達する期限は、12月31日。政府系金融機関である国際協力銀行の審査は、通常より時間がかかる。メンバー全員が、ハラハラする12月を過ごしていた。

「期日までに資金が調達できなければ、お客さまの事業に大きな影響を及ぼすことになってしまいます」。しかし、現地にいる磯口が、お客さまの業況を熟知していたことが功を奏した。「国際協力銀行に対して、当行から事情説明や質問事項への回答ができたことで、時間がかなり短縮されたのです」。万が一、融資が間に合わなかったときの代案も用意していた。しかし…。「すべての手続きが完了しました!」。12月28日、国際協力銀行から融資実行の連絡が入った。「飛び上がりたいほど、うれしかったです。お客さまからも、すぐに感謝のお電話をいただきました。本当に、ほっとされていました」。その後、シバサキTBタイランドは、工場を拡張し、順調に業績を伸ばしている。

「テレビドラマの印象から、銀行と言えばマネーゲームを連想する人もいるかもしれませんが、私たち地方銀行は、地に足の着いた活動をしています」と、磯口。金額の大小に関わらず、お客さまの事業に必要な資金を、必要なタイミングで調達するために、全力で方法を模索し、実現に向けて動くのだ。その言葉を裏付けるような出来事があった。当行の海外視察研修団が、シバサキTBタイランドの工場見学に訪れたときのこと。現地責任者が、「武蔵野銀行さんは、私たちのことをよくわかってくれているので本当に有難い。何かあった際に相談しやすいですよ」と、おっしゃってくださったのだ。「その言葉が、何よりもうれしかったですね。現地銀行へ出向し、異文化の中で、手探りで活動方法を探した日々は、苦しい局面もありました。でも、お客さまの課題解決に向けて一生懸命に努力したことが、報われた瞬間でした」。活路を求めて海外へ進出する地元企業のために、武蔵野銀行の海外駐在、出向行員は、今日も異国の地で奮闘している。

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VOICE

お客さまの声

  • 当社を深く理解し、
    スピーディーに
    海外での設備投資を
    支援いただいた

    当社は、埼玉県寄居町の地で60年以上にわたり技術を磨いてきました。自動車部品の切削加工を主要事業に、国内の自動車サプライヤー、世界最大手のサプライヤーから認められると同時に、お客さまのグローバル戦略に合わせて、海外への販売チャンネルとネットワークを展開しております。その海外での更なる拡大において武蔵野銀行さんのスピーディーな対応と支援があり、当社と東京鋲兼シンガポールの合弁により設立されたシバサキTBタイランドの量産化に伴う、新規設備の導入が実現しました。現地での自動車のエンジン、ブレーキなどの機能部品の量産化と当社国内で実現してきた切削技術の品質保証という難しいニーズを良く理解いただき、限られた期限で難しい融資を支援いただいたのは、地域に貢献したいという想いを共にし、日ごろからお付き合いの深い武蔵野銀行さんだからこそだと思います。

  • 写真左:株式会社シバサキ製作所 代表取締役社長 柴崎 亮二さま

VOICE

当行関係者の声

  • 山本 剛之融資部審査・査定グループ(2001年入行)

    世界経済のグローバル化が進む中においては当行の主要な取引先である中小企業にとってもマーケット拡大のため海外進出することは重要な戦略の一つと言えます。他方、海外進出には現地の需要動向、政治リスク、為替レートの変動、現地従業員の確保・人材管理、文化や制度の違いなど留意すべき点が数多くあり、融資部では案件審査の過程において、取引先の事業計画について計画達成の蓋然性や財務の観点から慎重に検証しています。体力のある大企業と異なり中小企業にとって海外進出はリスクが大きいため、取引先や従業員を守る観点からも事業計画をしっかりと検証し、間違いがない融資判断が行えるよう努めています。

  • 福原 亮平営業店 営業課※当時(2015年入行)

    私は、親会社であるシバサキ製作所さまとのやりとりを、日本サイドで担当。資金調達のためにスキームを組み立てて稟議書をまとめるのですが、現地にいる磯口さんから細かな情報をもらえたので、案件の概要を的確に把握することができました。協調融資を行った国際協力銀行は政府系の金融機関なので、審査や手続きに一定の期間を要します。しかし、磯口さんが、お客さまの課題を1年前から察知して動いていたことと、私も普段から、親会社の社長とよくお話をさせていただいていたので、タイや市場国際部から情報が出てきたときに、スピード感を持って動くことができたのが勝因でした。入社4年目でこれだけの仕事を任せてもらえたのは、当行ならではだと思いますし、この案件を通じて「営業店のお客さまを海外から支えたい」という気持ちが芽生え、現在はタイのカシコン銀行に出向しています。シバサキ製作所さまは、現在も営業店の寺嶋さんが担当を引き継ぎ、いろいろと支援させていただいています。

行員インタビュー

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