コロナ禍の本業支援・
コンサルティング営業室新設
銀行の使命は、
金融支援だけにあらず
-コロナ禍の本業支援・
コンサルティング営業室新設-
新型コロナウイルスの影響を受ける地元企業を守り、最後まで寄り添い続ける。金融支援にとどまらず、本業支援にも踏み込むたに、新設された部署の活動とは…。
MEMBER
- ソリューション営業部
コンサルティング営業室
室長
小笠原 知行
1995年入社 - ソリューション営業部
コンサルティング営業室
エリアコンサルタント
菅 友佑
2008年入社 - ソリューション営業部
コンサルティング営業室
エリアコンサルタント
大野 浩典
2013年入社
金融支援と本業支援。
コロナ禍の影響を受けた
お客さまを、守り、寄り添う。
「取引先企業が、コロナの影響で売上減少など大きな影響を受けている。地域に根差した銀行として、お客さまを徹底的に守り、寄り添い続けよう」。2020年10月。コロナ禍での企業支援を目的に、武蔵野銀行内にコンサルティング営業室が新設された。「金融支援だけでなく、『落ち込んでいる売り上げをどうやって伸ばすか』『企業価値をいかに向上させるか』といった、本業支援にまで踏み込んでサポートをするのが、私たちのミッションです」と話すのは、コンサルティング営業室室長に抜擢された小笠原だ。
「メンバーは、12人。埼玉県を5つのブロックに分け、各ブロックに2人ずつのエリアコンサルタントを配置しています。そのうち半数は、支店長経験者。もう半数は、ベテランの法人営業担当者。豊富な知識と経験を生かして、お客さまと商売に深く入り込んだお話しができるようにと考えたからです」。加えて、2021年10月から人材コンサルタントも1名配置。武蔵野銀行の本気度が表れた布陣である。「お客さまの経営課題が多岐にわたっているため、事業承継、M&A、事業金融、不動産、信託など、行内の専門チームとの連携も整えました。また、県の産業振興公社や経済産業省関東経済産業局、JETRO(日本貿易振興機構)、商工会議所など、公的機関や外部の専門機関とも、密に連携して動いています」。
定性面と定量面。
二つの面から課題を探り、
お客さまと伴走する。
特筆すべき点の一つは、コンサルティング営業室の活動が、受け身ではなく、能動的なものであるということ。資金調達の依頼があったお客さまはもちろんだが、経営課題が明らかになっていないお客さまに対しても営業店と連携し、膝詰めでの面談を重ね、本業支援に取り組んでいる。具体的には、武蔵野銀行をメインバンクにしているお客さまを中心に、財務指標などの“定量面”の分析に加えて、お客さまの事業方針や強みや弱みの把握など“定性面”の分析、二つの面から経営課題を探り、課題解決に向けた支援を行っている。
「武蔵野銀行の真の強みは、“地域密着”であると思います。たとえば、コロナという未曾有の危機に直面した時に『会社を子に継がせようと思っていたが、こんな大変な想いを我が子にさせたくないから、事業承継について考え直したい』こういう本音は、地元の銀行として、長年の信頼関係があるからこそ、打ち明けていただける本音だと思います」とエリアコンサルタントの菅は説明する。
実際、お客さまから評価の声をいただいたのは、本業支援に加えて、精神的な悩みにまで寄り添いサポートしたことであった。「『何か手を打たなければまずい。しかし、何をすればいいかわからない』という経営者も少なくありませんでした。そういうケースでは、ビジネスの可能性について、とことん議論を重ねました。『アイディアはあるけれど方法がわからない』という場合は、プロ人材を紹介し、『新たな販路を見出したい』というご要望があれば、当行のお取引先の中からビジネスマッチングを行いました」。形だけの相談ではなく、結果につながるまでお客さまと伴走する。それが、全員の決意だった。
危機にあっても前向きに。
お客さまの情熱と伴走し、
自らも成長する。
「お客さまと話をさせていただく中で、埼玉の経営者の“熱”やエネルギーに背中を押されることも多かった」と振り返るのは、チーム最年少のエリアコンサルタント大野である。「『こういう時だからこそ、違う業態のビジネスに挑戦したい』『コスト削減に取り組もう』『従業員のしあわせを考えよう』と考える経営者が多かったのです」。例えば、複数の店舗を運営する居酒屋チェーンが、仕入れや仕込みを1か所で行う仕組みを作って原価や人件費を下げたり、売上が落ちているレストランが、自社商品のネット販売を始めたり。客足の落ちた料亭が、神社の近くであることを地の利にして、結婚相談所を始めた例もある。「人形のまち」として有名な岩槻の人形店では、従来のカタログ販売に加え、販売強化のためのDX導入など新しい風を入れ、伝統工芸の灯を守っている。
「お客さまの力になるために、知恵を絞り、勉強することで、成長させてもらいました」と大野。「例えば、『SDG’sに取り組んで販路を拡大したい』という要望に応えるために、1から勉強しました。事業再構築補助金制度を利用したいというお客さまのために、一心不乱に申請書類を作成し、申請の締め切りに間に合わせました。スピード感を持って動きつつ、足りない知識を補強する。無我夢中の1年でした」。
「公的補助金の申請は、お客さまのことを相当深く知ったうえで書類をまとめなければいけません。武蔵野銀行は、補助金の採択件数で、県内金融機関でトップの実績を納めることができました。「多くのお客さまが、補助金を利用して活路を開けたことは、大きな手ごたえになりました」と、菅も言葉を添える。
2020年3月〜2021年3月
新規融資
業種別の資金繰り融資状況
「あなたは私たちの仲間です」。
武蔵野銀行にしかできない、
真のコンサルティング業務を。
「コンサルティング営業室の担当者は、私たちの仲間です」。印象に残っているお客さまからの言葉についてたずねると、小笠原は、前述の言葉をあげた。「『コロナ禍で資金調達の相談に乗りますという銀行は他にもあったけれど、事業支援をしてくれたのは、武銀(ぶぎん)さんだけだ』と。“我々は、お客さま企業の経営陣の一人である”という意識で取り組んできたので、最高の誉め言葉だと感じました」。
菅も、「コロナで苦しい時に、身近に相談できる存在がいて、心強かった。お金の話だけでなく、本業をどうすればいいかというアドバイスに助けられた」と、何社ものお客さまから言っていただいた。「活動自体は、銀行として必ずしも直接何か収益になるというわけではないのですが、お客さまが喜んでくださる姿を見て、活動をしてよかったと、心から思いました」。
大野は、「銀行という仕事の意義を、これほど実感したことはない」という。「あらゆる業種の経営者と直接お話ができて、経営の根幹にかかわる、本当に必要なものを求められます。それに対して、お客さまのためになることであれば、自社の製品やサービスに限定せず、外部機関も含め幅広く協力や連携を仰げる、これこそがコンサルティング。地元の企業のためにそれができるのが、武蔵野銀行ならではだと思います」。
先の見えないコロナ禍で、お客さまからの相談は、増加する一方だ。武蔵野銀行にしかできないコンサルティング業務を追求しながら、コンサルティング営業室の活動は続いてゆく。